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よしなしごと
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角度によっては「その他」 ・・・ タクシー禊(みそ)ぎでハイになる

年末のある朝、新宿でタクシーに乗ったら、こう尋ねられました。
「今日は遊びに行かれるんですか?」
その日は生徒さんのレッスン日だったのですが、ジーンズ+真っ赤なベルト+ごつめのショートブーツといった服装なので、運転手さんがそう思うのも無理も
ありません。肩に担いでいるのは笛が7本と楽譜とパソコンという私の仕事セットなのだけど、外からはアウトドアグッズでも入っているように見えるかも知
れません。

運転手さんの質問は続き、私がしどろもどろで返答。
今日は楽器を教えるお仕事です、・・・いや、音楽教室じゃなくて、フルートじゃなく日本の笛で・・・いえ、尺八でもなくて・・・伝統をになってる訳でも
なくて。うーあー・・どっかの演奏団体とかじゃなくて1人で・・・

いつも私はこの説明が苦手なのです。
最初から「篠笛吹きです」と言っても、ほとんどの人がどういうものか知らないので、最近では「あれでもない、これでもない」と答えているうちに消去法で
ぼんやりと想像してもらうのが一番だと思うようになりました。面倒なので、「和笛のお師匠」っぽい服装をして歩こうかと思う時もありますが実現に至って
いません。

不思議なのはいつもこうして、あれでもない、これでもないと困っているのに、ある地点を過ぎると、次第にあらゆる分類からの「その他」になったような軽
い気分になることです。滝に打たれてすっきりした状態ってこんな?と思ってみたりします。(海を見た事がない人が池を見て海だ〜と思い込むようなもの
かも知れませんが。)

そんな角度を長くキープできない事は分かっています。だけどその日のスタートは良い入射角で入れたように思いました。