花束のその後
　　　　　　　　　　　　　　　　　　

職業柄、お花を頂く機会があり、幸せな事だと思っています。
知らない植物を覚えたり、香りを楽しんだり。もともと葉っぱモノが好きなので、変わった形の葉を見つけては、お日様に透かして葉脈を眺めたり、指ですべ
すべしてみたり。ちょっと変ですか・・・でも興味があるんだもの。

先日大きな花束を渡して下さった方が、入れ物はどうするかと話しておられたと聞いたので、花束のその後を書いてみようと思います。華やかな場を彩るとい
う大役を終えた花束にも、その後の時間が待っている訳で、そういう光景に思いを馳せてくれた事が何となく嬉しかったので。

イベントの帰りは、右手に衣装、左手に楽器で長距離移動。
リボンに手首を通して釣るし花束、重たい荷物に挟まって押し花束、満員電車では睨まれ花束といった試練を経て、帰宅する頃には、私と同じくらいに草臥れ
てしまっています。

バッタリとひと休みしてから、「ごめんよ」と思いながら水揚げして生けるのですが、自分も体のあちこちがイタタ状態なので、しおれた花たちに親近感を覚
えます。そして水あげが成功して息を吹き返してくれると「一刻でも遅かったら助からなかったが一命はとりとめた」と緊急医療のドラマのようなセリフが浮
かんできます。

お花専用でない容器に何気なく挿してあるのが好きなので、大きな花瓶は何年も使わずじまい。ブリキのジョーロやガラスのコップを使います。大きな花束だ
と５つ位の入れ物に分けるので、後で家人から「ビールのグラス見つからないけど知らない？」などと言われます。

先日頂いたお花の中に鮮やかなオレンジのダリアがあり、どうやって生けようか考えていましたが、コップに挿して金魚の水槽に近づけてみたら金魚と同じカ
テゴリーに見えて楽しかったです。金魚のほうも横目で意識してました。フラワーコーディネート的には変なんでしょうけど、私にはこういう発見が楽しく
て、筋肉痛も忘れます。

花束のその後・・・こんな感じです。
イベントで出会った沢山の顔、言葉、音、香り、感謝はたくさんあり過ぎて、いっぺんには消化しきれないのですが、こんな遊びをしている間に少しずつほど
けていくのがいつものパターンなのです。
















ダリアをチラ見する金ちゃん。ちなみに白い点々は石巻き貝の卵と推察してます。