笛の神様
今年の初詣は「もっと良い笛吹きになりたい!」という一途な願いを聞き入れてくれそうな
神様にしよう、そんな事を思い立ちました。
日本でメジャーな神様の中で、音楽分野を一手に引き受けているのは七福神の紅一点
の弁財天です。神様たちの主な持ち物といえば薬や武器、巻物やお宝等が多い中で、弁
財天だけは琵琶を手にしています。これはヒンズーの女神サラスバティがインドの弦楽器ヴィ
ーナを奏する姿に由来するようですが、それじゃ吹奏楽器である「笛」については専門外?
という一抹の不安も残ります。
そういえば同じインドの神でクリシュナという横笛の名手がいました。いたずら好きな美男
子で笛の音で女性を魅了したと言われる、ある意味人間的魅力を持った神様ですが、「
弁天さん」として親しまれるサラスバティと違って日本ではマイナーなようです。勤勉な日本
人には奔放で享楽的すぎたのでしょうか。
さらに日本から離れれば、ギリシャ神話の牧神パンが、恋しい妖精シュリンクスが化身した
葦で笛を作った物語は有名ですが、このパンも女好き、いたずら好き、そしてかなり「キレ」
やすい人だったようで・・・う〜ん、憎めないキャラですが同じ笛吹きとしてはちょっとフクザツ
な心境です。
ネットで日本産の笛の神様を検索してみたところ、「天香山彦命(あまのかぐやまひこのみ
こと)」という名前に行着きました。天の岩戸に籠もってしまった天照大神をひっぱり出そうと
天の磐笛(いわぶえ)を作って吹いた神様で、現在は奈良県の笛吹神社に祀られている
そうです。この神様はさほど有名じゃないからか、後世の人々による説話の肉付けが薄く、
どんなキャラクターなのかはわかりませんでした。
例の願い事を叶えてくれそうではありますが、奈良県はずいぶん遠いので、いつか行って
みる事にして、今年は結局近くの弁天さまにお参りしてきました。こんなものぐさ者の願い、
叶えてもらえるんでしょうか。
それはともかくとして、今年も精進して腕を上げたいと思います。
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