書や焼き物の作品などを見ていると、まっすぐで美しいものと、ひずみ具合が美しい
ものとがあるような気がします。ひずんだような形をも味わい深く受け止められる感性と
いうものは、いったいどこから来るものなんでしょう。特に私は木々の枝ぶりや動物の
足跡、雲の動きなどの自然の動きに目を奪われてしまいます。
子供の頃、木の枝ぶりを自分なりに想像しながら画用紙に描く事に挑戦していた
時期がありました。最初は枝の美しさの秘密は「偶然」そして「自由」という2点にある
と思っていましたから、左右対称にならないように、枝の長さもいろいろになるように、
自由に伸ばしたい方向に枝が伸びるように気を配って描いてみたのですが、出来上
がったのはなんだか不自然な木の姿でした。「きれいな絵を描いてやろう」という下心
があるからダメなのかと思って、さらにランダム感を出したり、偶然性をねらって目をつむ
って描いたりしましたが、自然の枝ぶりとはほど遠い、説得力のない線が増えるばかり
でした。
人間の作った単純な物差しから見れば偶然に伸びているように見える枝の姿にも
細かな細胞のデータに基づいた必然的理由があったということを思い知った訳ですが
この体験はずっと心に引っかかっており、大人になってから「自然」という単語の「然」は
「偶然」ではなく「必然」の「然」だったっけ?と気が付きました。(学校でちゃんと習った
のに〜!理解が遅いにもほどがある)
今では笛を吹く時にも作曲をする時にも、自分なりのひとつの指針となっています。
木を描いた話
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