不思議な言葉たち
オカリナのレッスンをしていてこんな事がありました。
私「えーと、2行目がちょっと変でしたか?」
生徒さん「ええ、なんか先生のと違いますねぇ」
この時点で、私はリズムの間違いに気づいてほしいのですが・・・事態は別の方向に展開してしまうのです。
生徒さん「そうか、わたしのはタリラー♪ですけど先生のはトヮリラー♪ですよね。どうやってるんですか?」
私の頭の中ではリズム、音程、ピッチの3点を整えることが第一段階と考えるのが定番の順序なの
で「先ずはリズムを直してから 」と思うのですが、この場合この方は音の質感について特に引っかかっ
ているようです。篠笛のお稽古でも同じようなことがあります。
生徒さん「先生が吹きながらやってるピヨピヨっていうのをやってみたいんです。」
私「?」
生徒さん「ほら、さっきやってらしたでしょう、ピヨピヨって」
私「・・・!?」
トヮリラー?ピヨピヨ?・・・不思議語のオンパレードです。でも何を言わんとしているか分からない訳ではあり
ません。ただ、その感性のストレートさと鋭さに一瞬めまいがするだけで。
つまりこれは擬音です、それと知らずにですが、昔ながらのお稽古で使う口唱歌と同じ方法で、音の大切
な要素である「質感」というものを伝えていらっしゃるのです。(こんな風に説明するとなんだか難しそうですが
・・・説明というのはきっとそんなものなのですね)
そんな時はリズムの間違いについてはひとまず置いといて、どうしたら「タリラー」が「トヮリラー」になるかを先
ず説明することにしています。リズムはもちろん大切だけど、それと比べて質感というものを軽んじることは出
来ません。それにリズム、音程、ピッチには厳しくても、音の質感に注意を払わない演奏というのはかなり味
気ないですし。演奏をお仕事にする人はまた別かと思いますが、楽器を自分で楽しみたいためにお稽古す
る人は、もっともっと自由に質感で歌うこと、感じること、遊ぶことが大切なように思います。そして、そう考え
る私にとって、感性豊かな生徒さんたちとのレッスンはとても興味深いものでもあるのです。
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