沖縄テンポ
		
		
		 劇中でリコーダー、しの笛、オカリナを吹くという仕事で沖
		
		縄へ行って来ました。その劇は長崎被爆の傷を抱えたある
		
		ご夫婦の心の軌跡を実話をもとに描いた朗読劇で、今回
		
		の沖縄公演では一般の他に地元の小学生のための公演
		
		もありました。その小学校公演の幕が閉じたあと舞台の袖
		
		で楽器を片付けていると、客席の方から先生の声が聞こえ
		
		ました。「戦争がどうして起こってしまったのか、皆さんにはわ
		
		かりますか?自分のことしか考えない事が原因でしょう」簡
		
		潔にわかりやすく語られる先生の言葉は心に残りました。
	
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		 人は自分のことで一杯一杯な状態の時に自分のことしか考えられなくなることがあります。
		
		誰にも必死な瞬間というものがあり、それ自体は悪いことではないけれど、必死で一杯一
		
		杯な時は周りのものは見えなくなりがちです。それだけに本当に意義あるものだけに必死に
		
		なりたいものですが、どうでもいいいものの為に一生懸命になって自分のことしか見えなくな
		
		る場合も多いのかもしれません。とはいえ例えばラッシュ時の電車の中などではだれもが本
		
		当に大変すぎて、人を思いやるのは難しい環境ではありますが。
		
		
		 ところで、沖縄の舞台の合間、昼食をとるため会場の外へ出ました。気温は30度近くあ
		
		るのでしょうか、汗を拭き拭きシーサーが並ぶ住宅街を歩いていると、どこからか三線(さん
		
		しん)の音がきこえ、何とも言えないゆったりした空気が流れていました。生活感が漂う狭い
		
		路地をゆっくりゆっくり歩くおばあちゃんとすれ違いながら、こちらもなんとなく歩調をゆるめま
		
		した。沖縄テンポで歩いてみると各家に咲いたカラフルな花やお昼ご飯の良いにおいがして
		
		きて、ちょっと幸せな気分になれました。人への思いやりってこんな空気から生まれるんだろ
		
		うな・・・、どうして忙しすぎるとダメなのか、なんとなくわかった気がします。
	
		昼下がりの公園 (沖縄 那覇市にて撮影)