しの笛は音出し自体に手こずる楽器ですから、はじめのうちは「出た」となればそれだけで
おめでたいのですが、同じ「出た」でも歌口の塞ぎ方によって音色と吹き心地がずいぶん違
います。私の言う「歌口の塞ぎ」とは歌口に唇をあてたとき、下唇によって塞がれる歌口の
面積のことです。
下に歌口の塞ぎの多少によって影響があると思うことを図式にしました。音出しは他のい
ろいろな条件にも影響されるので一概には言えませんが、音は出たけど目眩がするほど
息苦しい人、消え入りそうな音の人、オクターブの吹き分けでどちらか一方が出ない人は
チェックしてみてください。
2 音出しチェック項目
しの笛の歌口の中で空気をあてて音が出る場所は非常に小さな範囲です。そのポイントを
ねらって吹いたつもりでもわずかに左右、前後にずれただけで音が全く出なくなってしまうこと
はよくあります。また、唇のかたちは人さまざまですから、同じような吹き方をしても空気の出
る角度や方向が微妙に違うこともあるため、別ページで書いたような「手順」のようなマニュア
ルをふまえた上で、さらにその人なりのコツをつかむ必要があります。 それから、初心者の方
の場合、気が付くと、思ったところと違う場所を吹いてた・・・なんてことも割とあるので「こう吹
いてるつもり」という思い込みが落とし穴になることもあります。歌口を口にあてるときはとにか
く慎重に、そして鏡で確認しながら音出しするのもおすすめです。
普段の呼吸ではふつう、吐く息の量は「フゥ・・・(強→弱)」とだんだんパワーダウンしますが、
笛を吹くときは「フーーー(中→中)」と一定の息圧をキープするのが基本です。
しの笛は指使いは同じままで息圧とアンブシャーを変えることによりオクターブの吹き分けをす
ることがとても多いので、息圧のコントロールは非常に大切です。たとえアンブシャーと指使い
が正しくてもブレスコントロールが出来ていないと正しい音が得られません。おなかの横隔膜
でしっかり支えて常に適正な息圧を保ちながら吹く事が大切です。これをちゃんとやると体に
も良いそうですよ。
ここでは指穴が7孔のしの笛についてマニュアルトップページの運指表をもとに説明します。
一番の問題は指穴とそれを塞ぐ指との間に出来る「すきま」ではないかと思います。初心者
で特に四三二一や43210が出せない人の中には気付かずに指の塞ぎにすきまが出来て
いる場合があります。例えば0の音出しは唇の作り方はさほど難しくないので、五や六が出
せる人なら比較的簡単に音出し出来るはずですが、左手中指以外の指をすべてすきまなく
塞がないと正しい音が得られません。三二一や321にいたっては、ちゃんと塞がっていないと
出る音がカスカス・・・なはずです。
指のおさえがうまくいかない原因の一つは構え方にあると私は思います。すきまを気にしてつ
いつい指に力を込めるのは逆効果、力まず無理なく指がとどく体制を背筋から、肩から、手
首の角度から工夫してみるのも近道だと思います。
すきま危険ゾーン 1 指の関節部分・・・ちょうど関節のところで指穴を塞いでいる場合は
気付かずにすきまが出来ることがあります
2 薬指、小指 ・・・人差し指に比べて感覚が鈍いので注意が必要
+α 歌口の塞ぎの調節(さらに思い通りに吹くために)
歌口の塞ぎが少ない ← ・・・・・・・・ → 歌口の塞ぎが多い
音が大きめ ← ・・・・・・・・ → 音が小さめ
ピッチ(音高)が高め ← ・・・・・・・・ → ピッチが低め
息苦しい ← ・・・・・・・・ → 息は比較的らく
オクターブの下の音が出やすい ← ・・・・・・・・ → オクターブの上の音が出やすい
ひとくちに良い音といっても好みの違いの他に演奏する曲のジャンルや会場の音響などに
より出したい音色は違ってくるはずです。音色や吹き心地などを考えながら歌口の塞ぎを
調節すると案外理想の音色への近道になるのではないかと思います。
A. アンブシャーの解説
B. ブレスコントロールの解説
C. フィンガリングの解説
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鳴るポイントに吹き込む空気の角度を一定とした場合
A. 鳴るポイントに空気を命中させる為の唇の使い方(アンブシャー)
B. 適正な息づかい(ブレスコントロール)
C. 正しい指使い(フィンガリング)
+α 歌口の塞ぎの調節(さらに思い通りに吹くために)