CD の感想を頂きました。 あんまり嬉しかったので紹介させて頂きました。
      
〜しの笛独奏作品集〜
内容紹介
      
作曲と演奏 小野さゆり
◆◇◆ 塩野 輝之さんより ◆◇◆

CD収録曲「露の原にて」感想。「笹のささやき」   

さゆりさんへ。
どこからともなく篠笛の音が聞こえてくる、そんな暮らしをしたかった想いが「竹笛草紙」でやっと叶いました。最初からすっかり馴染んで、子どもの頃か ら聴いていたような錯覚さえおぼえます。
その中の「露の原にて」を聞きながら、ある不思議な体験を思い出しました。
以前、登山の途中でとてもいい音に出会ったんです。
それは十五年前の十月、スキー仲間たちが新潟県の梶山新湯で呑もうと言うので、それなら一山越えていい汗かいてからだと、長野県側から雨飾山を越えて いる時でした。
アマカザリ山って名前もいいでしょ。標高は1963mとあまり高くはないんですが、深田久弥が日本百名山の一つに選んだ理由も“品が良くて美しい山” なんです。
頂上付近は一面の熊笹で、その名も笹平。その笹に持ち上げられるように、あるいは突き刺さるように“ふとん菱”という名の大岩壁があるんです。
長野県小谷村の登山口に夜中に着いてマイカー泊、朝の寒さに出発はやや遅れるものの快調に高度を稼いで、笹の葉が霧氷で白く輝く笹平まで登ってきました。山頂はもうすぐです。
陽も少し高くなり、熊笹に囲まれて小休止し。さあ出発、という時にどこからともなく今まで聞いたことのない音が聞こえてきたんです。最初は聞き取れな いほどの囁くような音。やがてシャカシャカ、カサカサ、いや、とても文字に表せるような音ではありません。不規則なリズムが徐々に賑わってきて、不思議な音が、楽しい音に変化してきました。
まるで朝日に目覚めたコロポックルたちが一人、また一人、やがて全員起きだしておしゃべりが始まったような、なんとも不思議な音なのです。
屈んで笹の葉を覗いてみました。どの葉も霧氷に白く縁取られ、表面も産毛のように輝いています。その小さな氷たちが朝日にとけて滴り落ち、下の葉にあたっていました。下の葉はその振動で落ちかけた氷滴を誘発し、他の葉に広がる。気温も上がり、あちこちでとけては滴るを繰り返していたのです。
葉や氷滴の大きさ、落ちる高さによりちゃんと音程もあるし、リズムもハーモニーもあるんです。
気付いてから終わるまで、ほんの数分間。小さな大自然がつくりあげた上等の音楽界でした。
観客はぼく一人。もったいないような至福のひと時でした。
さゆりさんに聴かせてあげたかったなあ。きっと「露の原にて・パート2」が出来ていたことでしょう。
◆◇◆ I.Hさんより ◆◇◆

「竹笛草紙」感想
笛が自然の沈黙の中から立ち上がって来るように聴こえてきました。
この音色を越せるのは渓流のせせらぎを背景に石の上で
無心に鳴いているカジカ蛙くらい?でしょう・・・。
  1. Hさん 塩野さん 本当にありがとうございました!
          
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